『エベレスト 3D』の評価と感想

評価: ★★★★★

実話を基にしたエベレスト登山の話で、ドキュメンタリータッチの作風により、現実感がよく出ています。ただのフィクションなら、星はせいぜい四つまでですが、実話なので、五つです。

実話というのは、そんなにドラマチックなものではないので、多少退屈な場面があっても、また、恋愛がらみでなくても、また、アクションがなくても、仕方ありません。映画で取り上げられた登山隊がどういう登山をしたのかが、あまり退屈せずに、克明に分かれば、いいかなと思います。この映画は、最初の方が若干退屈なので、寝てしまわないように気をつけましょう。

以下、少しネタバレを含みますので、ご注意下さい。


何も調べずに見に行ったので、エベレストを撮影しただけの映画だと思っていましたが、違いました。見終わってから、エベレストで遭難した人たちの話で、どうも実話であるらしいことに気がつきました。

最初からドキュメンタリータッチだったので、ドキュメンタリー風の映画だとは思っていましたが、途中から雲行きが怪しくなり、「この人たち、無事に下山できるのかな?」と思い始めたのですが、次第に「もうこれは死ぬな」と思われる事態に突入していきます。フィクションではないので、「苦難もあったが、最後はヒーローの大活躍で全員無事生還を果たした」と言う話ではありません。いったいどうなるのか、じっくりご覧頂きたいと思います。

後で調べて分かりましたが、この映画の基になったのは、1996年に起きた「1996年のエベレスト大量遭難」という事件です。出てくる人も会社も全部実名で、実在します。


引用元: 10 People Who Never Left Mount Everest (Toptenz.net)
映画『エベレスト 3D』に出てくるAdventure Consultants隊の隊長を務めたロブ・ホール(本人)

実際、この事件で中心になったのは、Adventure Consultantsという実在の会社で、現在も存在します。この事件の話も、その会社の公式サイトに書かれています。

Adventure Consultants History, from 1990 to today

こんな話は、隠しておきたい過去ではないかと思うのですが、ちゃんと公式サイトに詳細を載せているのは、立派ですね。

それにしても、山登りはきれい事ではありません。本当に危険な冒険です。日本海を泳いで渡るとか、サハラ砂漠を手ぶらで横断するとかいうこととあまり変わりはない様に思います。この映画を見て、つくづくそう思いました。

そんな危険な冒険に、日本人の女性も一行に加わっていました。難波康子という方で、映画では”Yasuko”と呼ばれています。難波康子さんは、実際の下山中には、空になった酸素ボンベから酸素を吸おうと必死になるという末期的な判断力の低下があったようです。


難波康子さん

エベレスト登頂前の難波康子さん
Adventure Consultants隊の他のメンバーと一緒に写っています。
これはその写真の右端になります。

さらにネタバレになりますので、もっと注意してください。


ここから先を読むと、結末が分かってしまいますから、ここで読むのをやめるか、それを覚悟して読むかどちらかにしましょう。

難波康子さんの遺体は翌1997年に発見、回収されたそうです。映画ではAdventure Consultants隊の隊長であるロブ・ホール(Rob Hall)の遺体は今でもエベレストにあるということになっていますが、Wikipeida日本語版の記事では、2010年に回収され、荼毘に付されたことになっています。しかし、英語版のWikipediaでは、ロブ・ホールも別の隊である「マウンテン・マッドネス隊」の隊長だったスコット・フィッシャーも遺体はエベレストに残っていると書かれています。どちらが本当なのでしょうか?

2010年にシェルパのエベレスト清掃隊が遺体の回収に向かったのですが、遺族の意志を優先するということになっています。そして、少なくともロブ・ホールの遺族は遺体の回収を断るという意志を表明しているとマスメディアは報じています。それをその通りに取ると、遺体はエベレストに残っていることになります。いったい本当のところはどうなのかわかりませんが、Wikipediaはいい加減な記事が多いので、恐らく、映画で言っている様に、遺体はエベレストに残っているのではないかと思います。


引用元: 10 People Who Never Left Mount Everest (Toptenz.net)
この遭難事件の犠牲者の一人で、「Green Boots」と呼ばれている遺体


引用元: 10 People Who Never Left Mount Everest (Toptenz.net)
エベレストには登山家の遺体がたくさん放置されているそうですが、特にRainbow Valleyにはたくさん遺体があるらしいです。

参考ページ:
Retrieving Everest climber’s body ‘too risky’ – widow (BBC News)
Widow of climber Rob Hall wants his body left on mountain during Sherpas’ Everest clean-up (The Australian)
What happened to Rob Hall’s body after the 1996 Everest disaster? (Quora)
10 People Who Never Left Mount Everest (Toptenz.net)
11 Facts about the tragic Everest climb not in the movie (SheKnows)
『エベレスト 3D』の二回目鑑賞

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