『野性の呼び声』の評価と感想

『野性の呼び声』(原題:The Call of the Wild)(監督:クリス・サンダース/脚本:マイケル・グリーン/原作:ジャック・ロンドン/米国2020年2月21日、日本2020年2月28日公開)
評価: ★★★☆☆

この作品の原作となっているジャック・ロンドン(1876年-1916年)の『野性の呼び声』(1903年)と言う小説は、子どもの頃に日本語訳で読んだ記憶があります。今でも覚えているほどのインパクトがあった小説です。その後、大学院生ぐらいの時に、原文をやさしい英語で書き直したものを買いましたが、読んだかどうかは覚えがありません。そういう本が出ていることから考えても、アメリカ文学では有名な作品になるかと思います。


ジャック・ロンドン


ジャック・ロンドン


ジャック・ロンドン

この映画の方は、原作とはかなり内容が違います。ジャック・ロンドンの『野性の呼び声』の設定の一部を使った別の話です。しかも、芸術性が完全に損なわれています。(^ ^;

そもそも、原作は、大人が真剣に読む小説なのですが、一見すると、小学生や中学生向けのわんちゃんの映画みたいになってしまっています。これにはちょっと笑ってしまうしかありませんでしたが、ひどい話です。まあ、映画化なんてそんなものかもしれません。

この映画は、最後の終わり方が重要なのですが、原作とはまるで違う終わり方になっていて、感動のしようがありません。だから★が三つという評価です。

あまり期待しないで見て下さい。本当に子ども向けの児童文学『ドリトル先生』のシリーズとか、著者の体験や見聞を元に書いたノンフィクションの『シートン動物記』等とは全然違うハードボイルドな小説の世界が少しのぞけるのではないかという気がします。

ジャック・ロンドンの『野性の呼び声』は、ハードボイルドなのです。動物文学のジャンルにはなるのですが、普通の人が、動物の話と聞いて、期待するようなものではありません。

この映画は、ジャック・ロンドンの『野性の呼び声』を穏やかな話にしたような内容です。

それにしても、犬のシーンは全部CGで、大部分がCGでできた映画だと思います。犬を飼ったことがあれば、わかりますが、あのレベルの演技は犬にはできません。人間の言葉を大方理解できるのは事実です。しかし、指示通りに飛び跳ねるのは無理です。仮にできたとしても、そんな訓練をやっていると映画が作れません。

話は完全にフィクションですが、ロンドン自身、アラスカに行ったことがあるようで、そのときの経験が原作の土台になっています。映画ではそれを受け継いでいます。

なお、主人公の犬の名は「バック」(Buck)で、セントバーナードとスコッチコリーの雑種犬です。どちらも大型犬ですが、一見、セントバーナードを一回りか二回り小さくした犬に見えます。Buck(バック)というのは、普通に人間の名前ですが、この作品の原作の影響で、Buckと言うと、私は今でも犬を思い起こします。


セントバーナード


スコッチ・コリー

ちなみに、セントバーナードのような巨大な犬は飼わない方がいいです。大きすぎて散歩ができませんし、暴れるようになると、手がつけられません。この映画を見て、調子に乗ってセントバーナードなど飼わない方がいいです。

大きな犬を飼いたいときは、シェパード(ジャーマン・シェパード・ドッグ)とか、ゴールデン・レトリバーとか、ラブラドール・レトリバーのような飼いやすい犬の方がいいです。子どもの頃、友人の家族がセントバーナードを二頭も飼っていましたが、小屋が巨大で、何メートルもの檻が作ってあり、しかも、糞尿垂れ流し状態で、ものすごく臭くて、大変そうでした。こんな犬は普通の家では飼えません。シェパードでも屋内で飼うと、家の中を破壊されますので、外で飼わないといけませんし、外から音が聞こえると、大きな声で吠えますので、近所の人に思いっきり嫌われます。大きな家を持っていない人には無理ですね。

(2020年3月8日TOHOシネマズ名古屋ベイシティ、スクリーン3で鑑賞)

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